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2014.7.19~21 ピリカヌプリ 北西面 背骨を失った日

 もうすっかり冬だが、暑いなかのあの沢の涼しさと言ったら快適そのものだったのを昨日のように思い出す。

ブログは放置。すっかり放置してイジり用のパスも忘却だったが失敗こそ記していかなければならない。

①失敗を隠すクライマーは信用できない。
②失敗を認めなければ次には進まんのだ。
③今夜はちょっとヒマ~

てなわけで夏の沢の事故について書く。とても大きな失敗だ。

「事故は難しいところや危険なところで起きるのではなく、危険と安全の境界が曖昧なところで起きる」

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↑骨折直後。猛烈な痛みと吐き気の中で限られた選択肢について思案中の図。

以下、7/18n~7/20でピリカヌプリ北西面へ行く計画をたて、7/20に滑滝で滑落し怪我をした事故の報告をする。

 

コースタイム

7/18() 21:00札幌発-25:00 荻伏駅 C0



 

   
7/19、day1

 荻伏駅にて仮眠後出発。
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↑準備中、沢グッズはくさい。


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↑林道トボトボ。



                                               
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↑沢はキレイで快適!


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↑ツルツルできれい。水量は少ないほうだろう。


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↑スラブっぽい滝                                          


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↑第一核心。

今回の山行はすべて巻かずに直登を試みるつもりだった。登ってみたら滝の落ち口付近は悪い。5.10くらい。ハーケンで固めどり。プロテクションは無くもない。

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↑ロープ一杯でビレーポイント。登攀的で良い。


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↑第2核心のチョックストーン滝手前のチムニー滝。傾斜もあり、フレアーしていてツルツルで泳いで取り付かなければならないし冷たいし結構しんどい。


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↑いろいろ厳しい。ムーブの組み立てはワイドそのものだ。5.10チムニー滝。ザックを降ろしていけばよかった。



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↑その上のチョックストーン滝。いろいろ試すも低体温症になりそうだし、難しいのでボツ。
お椀状の側壁を登ることに。だがこちらも手ごわかった。



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↑側壁、沢で軍手でマジカチもちしたのは久々だ。5.10位。さすがに荷揚げした。「誰か褒めろ」と呟いた。



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↑チョックストンは未来のクライマーのためにとっておこう。






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↑まだ楽しいのは続く。

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↑テンバ。焚火。縫物するH。




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↑草の上に横たわるH。

翌朝、私の耳(外耳)にダニが咬み付いていた。手持ちの道具では取れない。テンションガタ落ち。なぜなら耳のなかでガサガサするから。


7/19() 06:00起床-10:00ソエマツ沢林道終点・入渓-17:00 c840 30m大滝の前 C1

 


          
7/20 day2  背骨の日

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↑昨夜のホテルピリカ。増水からも守られる好立地条件。                       



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↑一発目から40m大滝。簡単だけど朝だから冷たい。




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↑抜け口は油断できない。


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↑雪渓へ。怖すぎる。                       

                     

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↑大きな雪渓。好きな景色だ。




                                               

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↑屈曲点の滝。




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↑Hの頑張り。結構悪かった。



                                       
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↑c1040滝。ここで落ちた。

 滑滝を登っている途中で足を滑らせた。ロープは着けていたがプロテクションは取れていなかった。滝左側にハーケン打つ場所を探しながら登っていたのだが適切なリスがなかった。これから手がかり・足場にすべき場所の落ち葉・木端・砂礫手で払って掃除している最中に右足がスリップしてそのままズルズルと腹這いに滑落し深さ30㎝程の滝へ足から着水落ちた。落下スピードはそれほど速くなかった。着水した瞬間腰に激痛が走り、腰椎が圧迫骨折したのを感じた(足から着水し腰も頭も打ってなかったが背骨が自重で潰れた)

 着地したままザックを降ろしそこからHがビレーしている4m離れた水のかからない地点まで転がりこみ、ザックを下に敷き水をとってもらい鎮痛剤を服用し20分後に出発することを告げる

 鎮痛剤作用発現まで20分。それ以降も痛いようなら鎮痛剤でどうにかできる痛みではない。そして横になっていると体が固まって、痛みを受容出来なくなる。痛みが軽減してもしなくても行動を開始しなければならない。なぜならここは通信不能でレスキューも不可能な地点だからだ。
 


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↑after.

 鎮痛剤服用20分後、宣言通り立つ!


立ち上がる!



立てない!


腰から下が動かない!



それでも立つ!



立った!



と思ったら転んだ!



痛くてめまいがして吐きそうだ。ショック状態だろう。もういちど全神経を集中して立つ。


何度か足がエルビス状態になりながら棒立ちになり、Hに「左岸巻き、トラバースはランナーこまめに、引っ張り上げるようなビレイで、、、」と。痛みは強いが行動を開始する。Hトップで左岸から滝を巻く。再びガレになったところで沢に降りて歩き始める。



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↑一段、一段がツライ。白樺のボッコ折れて腹立つ。

沢が開けたところで携帯電波があることを確認し山岳会へ救助要請。これからピリカヌプリ西側の稜線へあがること、14:00に再度連絡することを告げた(この時点ではまだ稜線上への到着時間の見通しが立っていないのでヘリの要請準備のみしてほしい旨を伝えた)。しかし14:00時点で携帯の電波はなくピリカヌプリ西のc1570の稜線へでた14:20に再び山岳会へヘリ要請の連絡をした。ピックアップの予定のポイントはピリカヌプリ西のc1590の国境稜線上の開けた地点なので10分ほど稜線上を東へ移動。(嫁にも「明日のウェディング写真はキャンセル、お姫様抱っこは不可能、腰砕け」と連絡)


 
15:30頃ヘリは来たがシュンベツ尾根c1200~1300ほどを捜索、ホバリングしているのが見えた。天気はガスだったり晴れたりしていた。この間ヘリから渡邊の携帯電話へ通信があり、「ガスで近づけないこと、可能であれば登山道をc1300付近まで降りてきてほしい旨」が伝えられた。dzは「登山道は存在しないこと、1300まで下がると藪で視認性がよくないこと、現在地を動かないで待つこと」を伝えた。その後も通信はあったが電波・通信状況は悪かった。

 
17:30防災ヘリより、本日のピックアップは視界不良のため不可能と連絡があり、ビバーク態勢に入るよう指示あり。dzはこの時下腹部に猛烈な痛みを感じていた。尿は滑落発生時よりない。内臓の損傷かクラッシュ症候群が懸念されるため自力下山する旨連絡。

  19:00 ピリカヌプリ西c1300ポコにて山岳会へ現在地を最終連絡

 翌日、01:30ソエマツ沢 車デポ地へ。

  07:00渓仁会病院へ入院:
  診断は第一腰椎圧迫骨折・破裂骨折。腰椎固定手術、人工骨置換手術。CPK上昇のため(クラッシュ症候群の前兆)補液処置となった。

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↑夜の沢のクライムダウンは怖い。腰と下腹部がメチャメチャ痛いし、吐き気するし最悪だった。







7/20() 06:30起床-10:20 c1040 30m滑滝で10m滑落-13:30 c1300 事故連絡(稜線到着予定、dzの状態報告)14:20ピリカヌプリ西尾根稜線c1570で会へ連絡しヘリ要請。-1730ヘリピックアップ不可能の連絡&自力下山する旨連絡。-19:00 ピリカヌプリ西c1300尾根‐2300 本流c630



 

○事故後の対応

事故後、そのまま沢を降る方法もあったと思われる方もいるかもしれないが、事故直後は足・体に力が入らず踏ん張りが効かないため、簡単な滑滝などでも歩いて降りる力はなく懸垂下降も痛みのため不可能だった。ただ上に向かって少しずつ歩を進めることは可能だった。事故後、すぐ動いたのはじっとしていると痛みの部分が固まってしまい行動不可になることを経験的に知っていたという理由からである(服用した鎮痛剤:ジクロフェナックナトリウムの作用発現までの時間は横たわって休んだが)

もし行動不能になると事故現場より移動もできない。

以上のことから事故直後の時点では、なるべく稜線近くまで行きヘリピックアップされるのが一番早く安全な選択と判断した。

 

 

○ヘリピックアップ打ち切り時、自力下山を選択した理由。

 

. 渡邊の下腹部痛、そして乏尿が続いたため内臓出血やクラッシュ症候群の可能性が考えられたため、早めに下山する必要があると判断。

 

B .事故直後よりは渡邊の体は動くという状況に変化していること。

 

C .明日もヘリが出ない可能性があること。

 

. 明日になると渡邊の体は動かなくなり(受傷部が固まってしまい)、自力下山の選択肢がなくなること。

 

. 同行者の濱田の体力、実力も充分で渡邊の下山がサポートができること。

 

その際のリスクとしては…

 

    暗闇のためのルートロスト。

    途中で渡邊の運動能力の低下により行動能力低下の可能性。

    行動したことにより後遺症の可能性

                           …などが考えられたが、

 

    についてはルートロストしないように慎重に針路を決めること、また多少ロストしても対応は可能なこと。

    については運動低下が起こっていないこと、急激な行動不能にはならないという体調であること(ショック症状・傾向などはない)

    については、Aの理由と重複するが後遺症よりも内臓出血・クラッシュ症候群の危険性のほうが生命の危険があること。

 

以上のことから17:30の自点では自力下山を選択した。

 

○滑落した原因・考察

直接的な原因は足を滑らせたことによる。渡邊としては難しいところを登っている感覚はなくかった。また、プロテクションがとることができなかったが、そのため充分に注意深く手がかり・足場を吟味して登っていた。

左岸からの巻き道があるのはわかっていたが、その時はすべての滝を直登する気でいたため取り付いた。

事故を起こしてから思ったことではあるが、登ろうという欲が強すぎた、そして自分の技術を過信していたのかもしれない。そして落ちた時にどうなるかは考えていたが想像力が足りなかったのかもしれない。

 自分自身では今回の沢での滑落して失敗という一部分が事故原因ではなく、それ以前からのdzの山行時の精神状態がどう行動に反映されているかをよく考え修正する部分を見つけ出し修正する必要があると思っている。

 P7200187.jpg
↑プロテクションは大事。遠征も意識し、欲望が制御できなくなっていたのかも。

 事故を起こした結果、しばらく山の出来ない身体になってしまった。これで何を得るか。

 ここから復活するのは非常に大変だ。人生はいろいろなことがある。


















会の皆さま心配をお掛けして申し訳ありませんでした。そして林道まで駆けつけてくれた 会の皆さま北海道警察・浦河消防の皆さまありがとうございす。                                                                 

   






                                         




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コメント

§

大変でしたね。
でもこういう記録こそ発表すべきで、教訓となるものだと思います。
落ちてからの痛みと動揺がリアルでドキドキしました。

§

いやー本当に大変でした。今も身体が痛くて毎日辛いです。また一からやり直しです。

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